演者らは、海洋深層水(以下、深層水)を利用した環境改善技術を検討している。前報(岩﨑 2006)では、フェノールをモデル物質として深層水及び海洋表層水(以下、表層水)における分解性の試験を行った。その結果、深層水と表層水を 1:1 に混合した海水における分解性は、それぞれの海水を単独で用いた場合よりも良好であった。深層水には、栄養塩類が豊富に含まれ、一方、表層水には微生物が多く生育している。そのため、両者の相補効果によって、フェノール分解が進行したと考えられる。このことは、海洋汚染の環境改善の補助的手段として、深層水の散布が有効である可能性を示唆する。しかしながら、現実には、広大な海洋において、たとえばオイルフェンスを敷設するなど海域を区切ったとしても、深層水:表層水比が 1:1 となるまで深層水を加えることは難しい。
